プロ野球の2017年シーズンはソフトバンクの日本一で幕切れとなりました。DeNAの粘りも驚異的でしたが、やはり王者ソフトバンクが有利に試合を運んだ印象です。これで最近5年はパ・リーグの5連勝となりました。
2013年:楽天、2014年:ソフトバンク、2015年:ソフトバンク、2016年日本ハム、2017年:ソフトバンクです。結構セ・リーグはやられているますね。そこで日本シリーズでパ・リーグは本当に強いのか、もしそうならなぜ強いのか検証してみたいと思います。
対戦成績
まずはこれまでのセ・リーグとパ・リーグの通算対戦成績です。1試合ごとの勝敗ではなく、日本シリーズを制覇したかどうかを勝敗としています。なお日本シリーズは1950年に始まった制度です。
リーグ | 勝数 | 勝率 |
セリーグ | 35 | 0.515 |
パリーグ | 33 | 0.485 |
意外にもセ・リーグが勝ち越しています。セのほうが強い感じですね。ただこれは巨人のV9(9連覇)も含んでいます。巨人は日本シリーズで22勝していますから巨人様様です。

次にDH制という観点からみていきます。DH制とは、ピッチャーの代わりに攻撃時には別のバッターが打席に入る制度です。日本ではパ・リーグでのみ採用されています。セ・リーグでは導入されていません。
ですからセ・リーグでは通常、攻撃の回は投手も打席に入ります。現在の日本シリーズでは、セ・リーグチームの球場での試合ではDH製を採用せず、パ・リーグチームの球場での試合ではDH制を用います。この制度が始まったのは1985年です。ですから1985年以降に絞って対戦成績を見てみましょう。
リーグ | 勝数 | 勝率 |
セ・リーグ | 13 | 0.394 |
パ・リーグ | 20 | 0.606 |
パ・リーグがセ・リーグを圧倒しています。全然違います。DH制が採用されてから力関係が逆転したようにみえます。
メジャーでは

ちなみに海の向こうのアメリカのメジャーリーグでもア・リーグはDH制があり、ナ・リーグにはありません。ア・リーグとナ・リーグが世界一を決めるワールドシリーズの成績はどうなっているのでしょうか。アメリカでDH制が採用されたのは1973年だそうですので、1973年以降に絞ってまとめてみます。
リーグ | 勝数 | 勝率 |
ア・リーグ | 24 | 0.545 |
ナ・リーグ | 20 | 0.455 |
やはりDH制のあるア・リーグが勝ち越しています。DH制はかなりのアドバンテージとなっているのでしょうか。
DH制の利点
ではDH制の利点とは何でしょう。パ・リーグチームの場合は普段のリーグ戦からDH制で戦っていますから、ピッチャーの代わりに打席に入る打者も試合で打ち慣れています。
一方セ・リーグは普段のリーグ戦でDH制を採用していませんから、いざパ・リーグの球場でパのチームと試合をするとき(DH制が採用されるとき)には、ピッチャーの代わりに入るのは元々代打で使われている選手が中心です。
いつもレギュラーを張っているパ・リーグのDHの打者と、普段は代打中心のセ・リーグのDHの打者とでは雲泥の差があります。これが両リーグ間の対戦成績の差の原因の一つであると思われます。
参考
日本シリーズと同じ状況(パ球場ではDHがあり、セ球場ではない)なのが交流戦です。交流戦は2005年に始まったセ・パ両リーグの球団が、自分と反対のリーグの球団と戦う試合のことです。5~6月にかけて開催されます。交流戦での過去13年(05~17)の対戦成績はこうなっています。
リーグ | 勝数 | 勝率 |
セ・リーグ | 872 | 0.471 |
パ・リーグ | 981 | 0.529 |
やはりパリーグのほうが上手です。
参考までにメジャーの交流戦ではこのようになっています。
リーグ | 勝率 |
ア・リーグ | 0.528 |
ナ・リーグ | 0.472 |
DH制がある日本のパ・リーグ(0.529)とメジャーのア・リーグ(0.528)の勝率がほぼ同じです。単なる偶然とは思えないほどの数字です。
まとめ
いかがでしたか。DH制だけが要因ではないはずですが、リーグ間の強さの差には大きくそれが関係しているのは間違いなさそうです。日本シリーズでセ・リーグが勝っていくためには普段のレギュラーだけではなくその一段下の代打の選手たちもかなり強化しないといけないようです。